ヘルニア手術当日
朝ごはんなし。
水分も9時まで。
でも緊張してるのか、思ったよりはしんどくない。
点滴の針を刺して、そのまま動かして大丈夫といわれたけど腕を上げると痛い感じであまり動かせない。
昼過ぎ、病室に母が来てくれた。
昼ごはんもなし。予定は14時過ぎなのでずいぶん暇。しかも前の手術の人がまだかかってると告げられ、2人で世間話など。
父が母に託してくれたありがたい書物など眺めて、力をもらう。
その時は突然やってくる。
看護師さんから、「そろそろお着替えして、トイレ行っとこうかー」とお呼びがかかる。
素肌に手術着を着て、
両脚とも弾性ストッキングを履き、
トイレに行って紙パンツに履き替える。
パジャマのズボンだけ履いていくというのだが、トイレでは難しく部屋に戻って母とバタバタ履いてる間に、
「さぁ行きましょう!」
あんなに暇やったのに。準備万端やったのに。荷物は置いといて、とりあえず母と手術室へ歩いていく。
普段コンタクトなので、メガネをかけていく。手術室の前で母と別れる時、メガネを渡す。
私「行ってくるね」 母「頑張って」
母の顔を見ると思わず泣きそうになる。慌てて振り切るように中に入った。
手術室・・・こんな広いんだ。
いくつも部屋があって、沢山の人がわりと和気あいあいと働いている。
私の部屋に入ると、そのマシーンの大きさや銀色のピカピカした様子に胸がギュッとなる。
正直怖い。
階段を2段ほど上がった少し高いところにベッドがあり、複数の人が一分の狂いもなく誘導してくれる。
手術着をシーツで隠してくれる中で脱ぎ、暖かい空気の入った、不織布で出来た布団に包まれる。暖かい。
怖かったけど、任せる気持ち。
点滴の針のところから、「痛み止めから順番に流していきますね。」
覚えているのはここまで。
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パチっと、自分から目を覚ました気がした。
誰か呼んだのかな?
想像してた、「〇〇さーん」の受け答えはしたのかしてないのか、記憶にはない。
「無事終わりましたよ」
って、誰かが言ってた。
思い出すとイラッとするのだが、ここでまたあの万年筆マニアが登場した!
「楽しかったっす。ご褒美にいい万年筆買ってくださいね」とか言ってたと思う。
あの野郎・・・
私も私で、「買います。ありがとうございました」とか言うてたかも。んも〜貴重な時に!
ベッドはHCUという特別レベルで見守ってくれるお部屋に。色んな機器の音がしてる。
朦朧としてたからよく覚えてないけど、
心配そうに母が入って来た。
終わったら夫に電話してくれたそうだ。母は広い30人くらい入りそうな立派な部屋で、1人でポツンと待っていたそう。宮沢賢治のセロ弾きのゴーシュなど読みきったと笑っていた。
2時間と言っていたけど、少しだけ長かった?とかで、終わりの方は少し心配したそうだ。
しばらくして夫も来た。
何を話したかあまり覚えてないが、いつまでも2人がこちらを見つめて座ってくれてたので、HCUのスタッフが
「もうあとは大丈夫ですよ」と帰してくれた。
私は2人に悪いなと思っていたので、少しホッとした。母は父との夕飯の支度もあるし、昼過ぎから長かったから。
手術って本当に知らん間に終わるんや。
私はもう麻酔からさめて起きているのに、あまりに激痛や吐き気がくると聞いていたので、いったい麻酔はいつさめるの?とボンヤリしていた。
当日の夜は、痛みよりたくさん繋がったあちこちの管で鬱陶しく、寝たり起きたりの繰り返し。
時々看護師さんにお願いして、寝がえりをうつ。背中側に細長い枕?みたいなものを置いてもらってゴロン。だいぶ慣れて、担当が変わった頃、
「コレ(長い枕)無しの方が楽じゃない?」
と言われておそるおそるやってみた。問題なく、そんな気もしたのでそれでいくことにした。