ヘルニア手術前日【余談】
※今回は手術前日の麻酔科の説明についての話なのですが、全くヘルニアと関係ない内容なので、ヘルニア!坐骨神経痛!とお調べの方々は飛ばしてもらって結構です。
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手術の前日に麻酔科に行って説明を聞いてくるように言われた。
麻酔科は病院の中でも位が高いというのは聞いていたが、患者がわざわざそこへ出向かわなければいけないとは。
こりゃ〜エラそうだ。
密室に登場した同い年くらいの麻酔医。
カジュアルな服装だ。
席について書類を出してすぐ、「あっ、ちょっと忘れ物スンマセン」と出て行った。
夫はすぐ、「ボールペンやな。部屋に何本か置いといたらええのに」と気づいた。
しばらくして現れて、分かった。ボールペンよりもう少しアピールしてくるものだった。
それは万年筆。
私も万年筆が好きだから、何となくわかる。
モンブランの傷1つないケースから、鮮やかな美しいブルーの万年筆が現れた。
もう一本は、薬品メーカーの普通のボールペン。
で、得意げに万年筆で必要以上にグルグルと丸をつけるものだから、私の名前のところはもうグルグルで見にくい・・・。
同年代らしく気さくに余談を交えつつ話すもので、私もつい、「それは、ペリカンですか?」など口を挟んでしまった。
それは彼のボタンだった。
「ちったぁ話が分かるようだな」とばかりに、万年筆への熱い思いが溢れ出し、語る語る。
「私の麻酔の話は?」と時々笑ってつっこむが、とどまることを知らない。
インク、書き味、美しさ、選ぶ楽しみ・・・。
インクはやっぱりカートリッジではなくコンバーターで吸い込むのが楽しいようで、手がかかるのがまた!と。
しかし、そんな熱意をよそに、万年筆はすぐ書けなくなった。
インク切れだ。
彼がいくら熱く語っても、出ない。
万年筆初心者とみなされた私は、特別に書かせてもらえたが、インクが出ない。
ほらわかります?この「サリサリ感」がいいんすよ〜!なんて言ってる。
私はマニアじゃないので、やっぱりインク込みの書き味「ヌラヌラ感」(と通は呼ぶそうだ)が試してみたかった。
・・・さっきグルグルしてアピールし過ぎだよ!!!
彼のブルーのは、私も知っていたイタリアブランドの相当高いものだそう。1番高いのも持っているとか言ってた。
ケースも、「どこのかわかります?」モンブランですよね。というと大変嬉しそうだった。
色んな色のインクも欲しくなってつい買っちゃうらしい。
万年筆が10本くらいあるとしたら、それぞれに洗っては色んな色を入れ替えて、すべて使っている状態にしておくのが彼の美学。
私は全くその趣味ではない。
まず、高すぎる万年筆は買えない。
ほどほどのもので、質の高いものを一本か二本。色は黒かこげ茶か緑系だ。
できれば濃い紺色のインクだけでジーッと使いたい。
でも、もしお金持ちになってしまったら、私もそういう気持ちになるのかも?だけど自慢はしないでおこう、なんて考えていた。
結局、私の説明は簡単におわり、私はその薬品メーカーからのもらいものボールペンでサインさせられたのだった・・・。
今日は楽しかったです!なんて言ってた麻酔医とは、再度ご対面することになるので、「手術当日」をご覧下さい。